仕事観。私が誰かに何かをする時に、大切にしたいこと。仕事の学校は、対話を通じて1人ひとりの仕事観を吟味していく時間と場です。

6日目

2008年8月9日(土)

最終日です。

当然のことながら事前に予定していたプログラムはありましたが、この日、何をしようか迷っていました。ホテルからプログラムを実施する会場まで移動する地下鉄の中でも、まだ迷っていました。

今回の仕事の学校のプログラムを構成する時に、4つのことを軸にしました。

1)参加者を一番に考える。
2)参加者の学ぶ力を信じきる。
3)評価したい気持ちから徹底的に離れる。
4)大人も仕事と自分に近づく。


さて、仕事の学校の最後の日、どのような時間を過ごしたらいいのか。
参加者を一番に考え、学ぶ力を信じ、評価から離れ、仕事と自分に近づくための時間。

プログラムのスタート時刻になっても迷っていたので、参加者と車座になりました。
思い切って聞いてみました。
「どうやって最終日を過ごそうか、ちょっと迷っているんだけど、どうしたい?」

少しの沈黙の後、

「好きな人と自由に話しをしてみたい」
「スタッフの人と話したい」
「フルーツバスケットしたい」

特にフルーツバスケットという声があった時には、参加者の表情が和らぎました。

そんなわけでまずは15分間、参加者22人でフルーツバスケット。
最初のお題は「この仕事の学校に来てよかったと思っている人!」

(たぶん)全員が移動。

次のお題は「まだ帰りたくないなぁと思っている人!」

これは3分の2くらいが移動。
この2つのお題が最初に出たのはスタッフとして正直、ほっとしました。

それにしてもフルーツバスケット、盛り上がっていました。
息を切らし、汗ばみながら楽しんでいました。見ている大人たちも大笑い。

さて、時間が来たので、また22人と車座。

「次はどうしたい?さっき自由に話したいってのがあったけど、それはどう?
何人くらいで話したい?」

いくつかのやりとりがあった後、こんなふうに時間を過ごしました。

1)自分が話しをしてみたいという人と2人1組になる(但し参加者のみ)。
  場所や体制は好きなようにしていい。
2)最初に3分くらい雑談をする。
3)次に話し手、聴き手を決めて、話し手は「仕事の学校、仕事と自分に近づく」をテーマに
  10分間、話す。聴き手は、質問をしてよい。但し、質問だけ。
4)話し終えたら、3分間くらい雑談。その後、役割を交代して「3」を繰り返す。
5)お互いのスケッチブックに相手へのメッセージを書く。
6)次の話し相手を決める。


これを午前中に4回。
リラックスした表情、真剣な表情で「仕事と自分」について語り合うその姿は、
光と熱を帯びていました。

昼食後、また車座になりこう伝えました。

「午後はどうしてもしたいことが2つあります。1つはみんなの仕事の学校の参加してみての感想を聞きたい。もう1つは3ヵ月後の自分への手紙を書いてほしい。
この2つには、それぞれ40分くらいずつ時間がほしい。それ以外に、どうしたい?」

僕の近くに座っていた参加者が小声で「フルーツバスケット」と伝えてきたので、参加者に問いかけてみると、今回はあまり賛同者がいませんでした。

「プログラムに書かれている仕事体験先への手紙は書かないんですか?」という質問がありました。

その通りです、予定では事務局で用意した便箋と封筒にみんなで一斉に仕事体験先へのお礼の手紙を書くというプログラムが用意されていました。

これは実は朝食を摂りながら、「事務局が用意した同じ便箋と封筒に、お礼の手紙を書くという時間に、一斉に書いた手紙をもらってうれしいだろうか?」と疑問に思い中止しようと思っていたのです。

参加者にはそういう気持ちと、「だから、もし仕事体験先の人へお礼の気持ちを伝えたいと思ったら、自宅に帰ってから、自分で選んだ便箋や葉書で、自分の時間を使って書いてほしい。送付先は連絡します。」と伝えました。これには参加者も納得の表情でした。

「じゃあ、感想と自分への手紙を先に書いて、あまった時間で自由に過ごしたい」という声があがり、それに賛同する雰囲気があったので、そのように時間を過ごすことに。

まずは少しスケッチブックに書く時間を設け、その後、スタッフも含めて36名で車座になり、 1人ひとりの仕事の学校に参加しての感想を全員で聴きました。

静かないい時間でした。

1人ひとりが、ぽつぽつと奥の方から言葉を丁寧に発し、今の自分の気持ちを精一杯伝えようとしているのが、とても伝わってきました。ほろっとなりそうな部分もありましたが、そんなことをしていると、
一つひとつの言葉を聴きもらしそうで、感傷的になるのも勿体無いくらいの時間でした。

どんな感想だったの?と興味を持たれるかもしれませんが、ここで特定の言葉を取り上げて紹介するような乱暴なことはしたくないという気持ちです。ごめんなさい。
それくらい大切にしたい時間だったことは間違いありません。

最後に「3ヶ月後の自分への手紙」を書きました。参加者もスタッフも、それぞれ思うがまま3ヶ月後の自分へ今の気持ちを書き綴りました。

書き終わった頃には、もう解散の時間。結局、取りたかった自由な時間はありせんでした。
最後に記念写真を撮り、なぜか三本締めをして終わり。さらっと解散。

さて、この最後に書いた自分への手紙は事務局が11月9日に投函します。
この手紙が届き、封を開け、自分への手紙を読みながら、参加者の1人ひとり、スタッフの1人ひとりは、どんなふうに思うのでしょうか?

そう、まだ仕事の学校は続いています。

(本城慎之介)


(車座になり「どうしたい?」)
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(2人1組で話しをする)
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(3ヶ月後の自分への手紙)
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