仕事観。私が誰かに何かをする時に、大切にしたいこと。仕事の学校は、対話を通じて1人ひとりの仕事観を吟味していく時間と場です。

半年後に振り返って

2007年夏に開かれた、"仕事の学校"に参加した高校生4人に、ほぼ半年後の08年4月、その体験について振り返ってもらいました。出席してくれたのは、(08年度)高3が1人、高2が3人、男女各2人です。

---"仕事の学校"のことを、知らない人に向けて、どう説明しますか?

A さん:家に帰ってからすぐ、お母さんに"何を学んできたの?"と聞かれ、"いやぁ、仕事って大変だねー"って(笑)。でも、色々な体験がありすぎて、最初 は言葉にできなかったんです。少しして、私が熱心に話し出したら、最初キッチンに居たお母さんが、手を止めて私の方に話を聞きに来て、他の家族も集まって 来ました。結局、"仕事の学校"でのことを、最初から最後まで全部、何日間もかけて話し倒しました(笑)。それがきっかけで、お母さんからも"(仕事や将 来の進路に関して)こう思っていた"という話が出てきたりしました。

---友だちには話しましたか?

Aさん:話したんですが、相手によって、興味ある人と無い人が居て、伝えようとしても"ふーん"で終わられると、ちょっとさみしかったです(苦笑)。

B さん:私にとっては、仕事って何だろう、ということを、実際の仕事の現場に行ったり、参加者とディスカッションしたり、ワークシートに書いたりすること で、考える場、かな。全国からいろんな高校生が参加しているので、普段は接することができない人と話せるのも、いい経験でした。

Cさん: 普段、見えないものが見えるようになり、普段見えているものも、見方が変わりましたね。六日間が三日間に感じるくらい、あっという間で、自分ですごく成長 できたのが実感できます。私は、水泳教室の現場に行って、先生の笑顔が印象的だったので、自分でも思いっきり笑顔でやっていたら、"やりすぎだよ"と言わ れました(笑)。相手は子供で、命の重みも知らないから、教える側が、それを意識しないとダメとわかりました。

---仕事だと、一緒に楽しむだけではない、ということに気づいたんですね。いわゆる"仕事体験"ができる場は、他にもあると思うんですが、"仕事の学校"が違っているとしたら、どこでしょう?

A さん:"答えの無い問題"について、みんなで話し、自分なりの答えを探る、というのが特徴ですね。普通、学校では、あれほどひとつのことを深く追求したり はしません。"仕事の学校"では、ちゃんと聞いてくれる人も居るので、こちらも考え続けられるし、違う意見も出てきます。

Dさん:"仕事 の学校"に行く前は、仕事に関して、すごく表面的にしかわかっていませんでした。たとえば会議というと、堅苦しいイメージがあり、利益の話ばかりするのか なと思っていましたが、私の行ったIT企業では、もっと自由でした。会話も生き生きとしていて、笑顔もあり、楽しくやっていると見受けられました。

---"仕事の学校"に行ってから、何か自分が変わったということはありますか?

Cさん:"仕事の学校"の後で、テレビを買いに行く機会がありました。こちらが商品を見ているとき、素通りする店員さんも居れば、積極的に提案してくれる店員さんもいるのに気づきました。

B さん:私は、学校のトイレを掃除してくれている人に、挨拶したり、声をかけるようになりました。"仕事の学校"に行くまでは、あまり意識しなかったんです が、これもひとつの仕事で、その人たちが居るから、私たちもトイレを気持ちよく使えるって。私が挨拶するので、他の友だちもするようになってきました。

---それは、素敵な"輪"の広げ方ですね!

Dさん:訪問先の社員食堂に行ったとき、社員の人に"仕事って何ですか"と聞いてみたんですが、はっきりした答えの人は少なくて、あぁ、そこまで生活の一部になっているのか、と思いました。

---大人でも、そう聞かれると、わからないものですよ(苦笑)。

A さん:"仕事の学校"では、いわゆる会社での仕事体験だったので、それとは違う世界のことを知りたくて、知り合いでも何でもない俳優の人に手紙を書いたん です。以前なら、そんなこと思いもつかなかったですね。ちゃんと返事がいただけて、それには"やりたいことを続けていたら、それが仕事になった"とありま した。

---"仕事の学校"を通じて、印象に残っている言葉は?

Aさん:訪問先の社員の方が言っていた"他人の幸せが、 自分の幸せになる"です。仕事って、基本的には競争で、誰もが出世を目指さなければならないようなイメージでしたが、自分だけのためではなく、他の人が喜 んでくれるのも仕事なんだってわかりました。あと、"楽しい仕事を探す"だけではなく、自分で"仕事を楽しくすることができる"のも発見でした。

Cさん:講演に来ていた方が言われていた"未知を拓(ひら)けば、道が開ける"というフレーズが心に残っています。

Bさん:女性の講演者の方が言われていた"無ければ作る!"ですね。

---"仕事の学校"に、向いている人、向いていない人はどういう人でしょう?

Dさん:最初は、色んな人が参加しているから、その中でやっていけるかなぁと、少し思いましたが、その心配は無かったですね。

Cさん:一緒に寝泊まりしちゃえば、もうオッケー(笑)。

Dさん:枕投げしたり(笑)。

Aさん:でも、元から知っている人が居ない方が、逆に"仕事の学校"で話し合うようなマジメなことを言うには、いいかもしれません。

Bさん:自分の考えを書いたりするのが好きな人は、ラクかもしれませんね。書く機会が多いから。

---半年以上経っても、けっこう皆さんの中で、未だに"仕事の学校"の印象が強いことが印象的でした。今日は、ありがとうございました。

(収録:2008年04月01日@仕事の学校事務局 構成・文 桝山寛)

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