「仕事の学校」は、高校生を対象とした自分自身の仕事観をつくる5泊6日の合宿型セミナーです。

第2回 仕事インタビュー 白原 真菜美さん(2)

ラグビー中心の生活スタート - 休みは年に5日間?

 マネージャーをスタートした高校生活は、やっぱり毎日ラグビー中心の生活でした。ラグビーバッグ持って、ウィンドブレーカー着て、自転車こいで、走って学校に行く。帰るのは毎日21時くらいで、休みは年に5日間くらい。そんな感じの高校生でした(笑)

 私が高校の時は、ラグビー部の部員が100人以上いたんです。あと当時はマネージャーが1学年に1人って決まっていたんですよ。今は6人くらいいるようですが、私のときはマネージャーは全員で3人しかいなかった。だから部員一人一人に対して何かをしてあげるっていうのはなかなか出来なかったですね。基本的には決められたことをこなすだけ。具体的に何をやっていたのかって聞かれると、かなり記憶が薄れてきたのであんまり思い出せないな~……(笑)。今は社会人になってチームにいる人数もそれほど多くありませんし、選手一人一人が何をしてもらったら嬉しいかな~って考えながら、いろんなことが出来るようになりましたけどね。

3年連続で花園へ - 恵まれていました

 私の時は、高校時代に3年連続で花園に行くことができたんです。花園に行けることだけでも幸せなのに、一年生の時は全国ベスト4、二年生の時はベスト16、三年生の時はベスト8。恵まれていましたね。どんなに強くて前評判が高くても、仮に大阪の地区予選でその年の全国大会優勝校なんかと当たったりしたら花園には出られないですから。

 私には妹がいて、今は一緒に神戸製鋼のラグビー部の仕事をしています。彼女は近畿大学付属高校で同じくラグビー部のマネージャーをしていたんです。同じようにマネージャーをしていても、彼女は三年間で一度も花園に出場出来なかったんです。その後、京都産業大学に進学し、そこでもマネージャーをしていたのですが、全国大学選手権大会には出場しましたが、決勝まで進めなかった。しかも彼女は最後に神戸製鋼がトップリーグで優勝した次の年に入社したので、まだラグビーで優勝経験がないんです。私は既に神戸製鋼でも3回も優勝を経験させてもらっています。実際優勝経験できる人の方が少ない中で、そういう意味でも私は本当に幸せだし、恵まれていると思いますね。

神戸製鋼でやりたいです! - マネージャーを仕事に

 高校3年生の進路を考える時、当時のラグビー部部長で、今はお亡くなりになられた荒川博司先生に「どうするんや?」と聞かれたんです。先にも言ったように、私はずっとラグビーに携わる仕事がしたいと思っていました。だから「神戸製鋼でマネージャーやりたいです!」とお願いしてみた所、運良く入社する事が出来ました。

 どうして神戸製鋼かというと、工大の練習に工大OBとしてよく来てくれていたのが神戸製鋼の先輩だったんです。だから社会人といえば神戸製鋼っていうイメージが強かった。大学のOBも来てくれていたのですが、勉強が好きじゃなかったし、高校出たら働くと決めていたので、大学進学は選択肢にはなかった。神戸製鋼もたまたま人が必要な時だったから入ることができたんですけどね。運が良かったです。女に生まれましたが、これだけラグビーに関わる仕事ができているって幸せなことだと思います。なかなかやりたいことって出来ないし、それを職業としてもずっと続けてこられ、幸せですね。

 神戸製鋼について少しだけ話すと、「個性的なチーム」って言われることはよくあります。昔の方がもっと個性的だったとは言われたりもしますが、今も昔もやっぱり面白い人が多いですね。私はチームの中にいるから分からないんですけど、「大人の集団の雰囲気」って言われることは少なくないみたいです。

 (「思い出のシーンは何ですか?」という質問に)思い出のシーンですか?うーん、神戸の試合で感動したといえば、1997~1998年度に小村淳さんがキャプテンをされている時になかなかチームが勝てなくて、その後、増保輝則さんがキャプテンになり、日本選手権で優勝したんです。その時の表彰式で、増保さんが自分の代わりに小村さんに表彰状を取りに行ってもらうようにお願いするシーンがあるんです。そのシーンを見た時は思わず泣いてしまいましたね。今でもその時のビデオ見たら泣いてしまうので、そのシーンは飛ばすようにしています(笑)。平尾誠二さんがキャプテンで優勝したときも、前キャプテンの林敏之さんに同じことをされていました。勝ったときのキャプテンが、勝てなかったときのキャプテンを立てる、そういうことが出来る人ってなかなかいないと思うんです。そういうのはやっぱりすごいな~って思いますし、感動します。

色々な人に支えられて - 困ったことは素直に表現してみる

 繰り返しになってしまいますが、私の場合は漠然とラグビーを仕事にしたいと思い続けて、それを先生に相談したら入社する事が出来ました。その時は「マネージャーになりたい」ってことしか考えてなかったので、とりあえず目指してみようって。もし駄目だったら「その時に考えたらいいか」と思っていたので、他の選択肢は持ってなかったなぁ~。普通だったら高校生はやりたいことがなくても、「とりあえず大学に入ってから考えよう」って思いますよね。それはそれでいいと思いますよ。でも自分は大学には行かないって決めていましたから。その時にやっぱり仕事のことを考えたら、「楽しくてやりがいのある仕事じゃないと続かないだろうな~」って思いました。だからまずは、やりたいことをできるように頑張ってみようって。自分の中では普通なのですが、一般の方からしたら変わっているかもしれませんね。

 そうは言っても、私は荒川先生に神戸製鋼のお話をもらい、今の仕事をさせてもらっている。だから偉そうなことはひとつも言えないんですけどね。就職活動をして、たくさんの企業の中から、それこそ自分の力で会社を見つけて内定をもらう、そんな風に今の仕事に出会ったわけではないですから、私の場合は特別かもしれません。

 でも、自分の経験を振り返ってみて、やっぱり周りの人の支えを得たり、助けを借りることは大事だなって思います。一人で殻に閉じこもらないで、自分が困っていること、本当にしたいこと、挑戦したいことをまずは表現してみる。そうすれば自分一人じゃ難しいことも、出来るようになるかもしれない。そうやって周りの人に助けてもらう生き方も、私は大事じゃないかって思います。やっぱり、人って社会の中で一人じゃ生きていけないじゃないですか。だから、今までいろんな人に支えてもらって生きてきましたし、ほんと幸せだったと思います。これからもそうやって支えられていくと思いますし、自分自身もたくさんの人を支えられるような存在になりたい。そう思いますね。

 (「これでインタビューを終わります」と述べると)え、こんな感じで大丈夫?文章どんな感じになるか、心配やわ~(笑)。

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